2019年3月31日、情報システム学会「AI時代における人間中心の情報システム」特集号が発行されました。
「人工知能(AI)とロボットがもたらす社会的インパクト:「ヒューマン・ファースト・イノベーション」に向けて」というタイトルで、これまでのAIやロボットに関する研究や国際学会での経験をまとめさせて頂きました。
少しでも皆さまの参考になる事がございましたら、とても嬉しいです。ご依頼頂きました砂田薫先生および学会関係者の皆さまに心より感謝いたします。
要旨
本論文の目的は,人工知能(AI)やロボットがもたらす社会的インパクトを理論的かつ経験的に捉えることである.まず理論枠組みとして,これまで理論と経験的調査研究との往還運動を通して発展させてきた「コミュニケーションの複雑性モデル」について紹介をする.次に,AIやロボットに関する日本と西欧の差異についてアプローチしていく.両者の差異に関しては,これまで思想や宗教的な観点から主に多く説明されてきた.そのため本稿では,ケンブリッジ大学との共同研究「グローバル・AIナラティブ」プロジェクトから,1920年代以降のAIナラティブについて社会経済的な力学から考察を試みたいと思う.さらに人とAI/ロボットとのエンゲージメントに関する実態について,現在行なっている2つの調査研究—若者とAI調査,高齢者のロボット・エンゲージメントから考察する.最後に今後のAI/ロボット開発において必要な「ヒューマン・ファースト・イノベーション」について提案したいと思う.
高橋利枝「人工知能(AI)とロボットがもたらす社会的インパクト:「ヒューマン・ファースト・イノベーション」に向けて」情報システム学会誌, Vol.14, No.2, 2019.3. [PDF}]