スマートフォンやソーシャルメディアの普及から、現代の若者は「絶え間ないコンタクト世代」と呼ばれている。総務省の調査(2014)によると、若者のスマートフォンの利用率は6割(10代63.3%、20代87.9%)、ソーシャルメディアの利用率は7割を超えている(10代76.3%、20代91.0%)。現在最も人気のあるソーシャルメディアはLINEであり、10代では7割、20代では8割が利用している(図1参照:出典 総務省情報通信政策研究所『平成25年度情報通信メディアの利用時間と情報行動に関する調査』、2014年)。
デジタル世代である現代の若者は、頻繁にソーシャルメディアでコミュニケーションを行い、絶え間なくつながっている。この絶え間ないつながりは、友達や家族との親密性の強化、ネットワークの構築、写真による印象管理、音楽や動画などの共有、共創など新たな機会を与えている。
しかしながらその一方で、アメリカの精神科医シェリー・タークルは、絶え間ないつながりに対する期待とともに育った10代の若者は、「(絵文字を濫用し、意見より即座の返信を期待しがちな)デジタル化された友情」(Turkle, 2011)によって新たな不安を抱えており、「ついにはロボットとの友情だけで十分だという考えを受け入れるようになる」と警鐘を鳴らしている。ソーシャルメディアへの依存はアメリカばかりでなく、日本においてもLINEの既読機能による「LINE疲れ」や中毒などが指摘されている。
このようにスマートフォンやソーシャルメディアによる絶え間ないつながりは、新たなチャンスを生んでいる一方で、いじめや中傷、プライバシーの侵害、デジタルタトゥー(永遠に消えない情報)、ストーカー、不安や孤独感、依存や中毒など新たなリスクも生んでいるのである。
リスク社会を生きるために必要なリテラシー
私たちが生きている現代社会は、デジタル化、グローバル化が急速に進み、リスク社会と呼ばれている。例えば、原子力発電や地球環境問題、インターネットなどに対するリスクマネジメントは、政府や企業ばかりでなく、個々人にとっても重要な課題である。科学技術は私たちの暮らしを便利にしている一方でリスクをもたらす諸刃の剣なのである。デジタル技術も例外ではない。
特にスマホやSNS依存に関しては本人が気づかないことが事態を深刻にしている。アメリカ、オーストラリア、韓国などでは深刻なネット依存に対して、ネット依存度検査の義務付けや深夜時間帯のアクセス制限、デジタルダイエットなど様々な試みがなされている。デジタルダイエットとは、カロリー摂取過多や生活習慣によるメタボリックシンドロームと同じように、情報摂取過多、スマホやSNSの利用過多などデジタル生活習慣によるデジタルメタボやネット中毒を意識化し、デトックスする方法である。
リスク社会に生きている以上、一人一人がリスクを意識化し、リスクマネジメントをしなければならない。チャンスを最大限に享受し、リスクを最小限にするためのデジタル・リテラシーが必要とされるのである。
